君のそばにいてもいい?
部活も終わり、浴衣も着て、今は雅と待ち合わせた場所にいる。
「雅遅いなぁ…」
と時計を見た瞬間、走る音が聞こえた。
私は雅がやっと来たのかと思い、
「もー雅おそ…い…」
目の前には雅ではなく、まつ毛が長くて、眼鏡をかけている人…
そう、桐谷がいたのだ。しかも息を切らして。
「ごめ…待った…よね…」
息を切らしながら必死でしゃべる桐谷。
でも私は不思議に思う。
『ごめん』『待った』
って…?
「…え?何で…?」
私が混乱していると、桐谷は息を整え、
「何でって、許斐が僕に話があるって有田が…」
…まじでしばくぞ雅…
と思ったその瞬間、
「…雅からメールだ」
少し乱暴に画面をタッチして、メールを見る。
『今日は、桐谷と一緒にまわってね!
見守ってるからー♪』
「…はぁぁぁぁぁ…」
と、私は大きなため息をつく。
「どうしたの許斐?」
「私、雅に騙されたみたい。本当は雅とまわる予定だったんだけど、今メールがあって…」
と、さっきの雅から来たメールを桐谷に見せる。
「はぁ!?」
と桐谷は驚きと少し怒りが混じったような反応をする。
「…じゃあ一応聞いておくけど、話っていうのは…」
「もちろん、わざわざ会ってまで話すことはないよ…」
「だよなー…」
2人でもう一度大きなため息をついた後に桐谷から、驚きの言葉を聞く。
「…せっかくだし、2人で回らない?」