少女達は夢に見た。
「あ、そうだ今日部活じゃん。」
「あー、そうだね。」
ふと、アキが言った言葉に歩乃香が答える。
そのやり取りを見て、柚奈が心底嫌そうな顔をした。
「やーだなー…。」
「まあ、バスケ部は練習がキツイからね。」
私が励ましの言葉をかけるとさらに落胆した。
「あたしも、バスケ部辞めて、美術部に入ろうかな。」
「柚奈が美術部に入ったら卒業製作がめちゃくちゃになっちゃう。」
自分達の活動を甘く見られたのがちょっとムカついて、かわいい嫌味を言ってみた。
まあ、実際、バスケ部にくらべたら甘いけどさ。
直接的な言い方をしなかったのは、柚奈にそこを指摘されるのを避けたかったから。
「それはどちらかと言ったらアキじゃない?」
「確かに…。」
「え?」
アキは美術のセンスが全くと言っていいほどない。
誰がみたって、お世辞にも「上手い」なんて言えないくらいに。
思わず柚奈に肯定すると、自分の名前に反応したアキがきょとんとしていた。
「バスケは好きだけどさ。」
そんな柚奈に同情する気にはならない。
「まあ、がんばって。」
だけど、つい笑ってしまう。
「だって…一瑠と帰れないじゃん。」
しょんぼりと肩を落としてそんなことを言う。
正直、不意にそんなことを言う柚奈がかわいくてたまらなかった。
素直っていうのは、本当に人を何倍にも魅力的にさせる。
だから柚奈は好かれているんだ。
私も、もう少し、柚奈みたいになれたらいいのに。
「そんなこと言ってないで、がんばって。」
本当は、そんな風に言ってもらえて嬉しいのに、出てきたのは何の可愛げもない言葉。
そんな私に苦笑いをする。
「あー、じゃあ告白練習も無しですね。」
「…。」
すぐに反応ができない。
困っていると、
授業開始のチャイムがなった。
それを合図に動く。
「まあ柚奈の部活終わってから30分位なら、時間とれるかもね。」
早口で言って、足早に自分の席へと戻った。
窓側の前から3番目。
私の席から、真ん中の一番後ろの席の柚奈の様子は見えない。
もし見えたなら、授業中も、ずっと柚奈のことを見ていただろうな…なんて。
代わりに、英語の先生を観察していた。
意外と面白い。
だけどやっぱり飽きてしまって、自分の視界に入るクラスメートを一人ずつ観察する。
この中に、柚奈の好きな人はいるのかな。
熱い視線を送り続けていると、気付いて振り返った人がいた。
風見奏汰(かざみそうた)君。
同じ美術部で、席が近いから、まあまあ話すけど、教室では全くしゃべらない。
そもそも、私はアキや柚奈みたいに、男女関係なく親しく話したりなんてできない。
歩乃香はどちらかというと、私に近い。
でも私は歩乃香みたいに愛想があるわけじゃないし。
試しに風見君に微笑んでみたけど、すぐに目をそらされてしまった…。
ちょっと傷ついた。
けど、あんまり気にしないように、今度は窓に視線を移す。
程よく雲の出ている綺麗な青空だった。
「あー、そうだね。」
ふと、アキが言った言葉に歩乃香が答える。
そのやり取りを見て、柚奈が心底嫌そうな顔をした。
「やーだなー…。」
「まあ、バスケ部は練習がキツイからね。」
私が励ましの言葉をかけるとさらに落胆した。
「あたしも、バスケ部辞めて、美術部に入ろうかな。」
「柚奈が美術部に入ったら卒業製作がめちゃくちゃになっちゃう。」
自分達の活動を甘く見られたのがちょっとムカついて、かわいい嫌味を言ってみた。
まあ、実際、バスケ部にくらべたら甘いけどさ。
直接的な言い方をしなかったのは、柚奈にそこを指摘されるのを避けたかったから。
「それはどちらかと言ったらアキじゃない?」
「確かに…。」
「え?」
アキは美術のセンスが全くと言っていいほどない。
誰がみたって、お世辞にも「上手い」なんて言えないくらいに。
思わず柚奈に肯定すると、自分の名前に反応したアキがきょとんとしていた。
「バスケは好きだけどさ。」
そんな柚奈に同情する気にはならない。
「まあ、がんばって。」
だけど、つい笑ってしまう。
「だって…一瑠と帰れないじゃん。」
しょんぼりと肩を落としてそんなことを言う。
正直、不意にそんなことを言う柚奈がかわいくてたまらなかった。
素直っていうのは、本当に人を何倍にも魅力的にさせる。
だから柚奈は好かれているんだ。
私も、もう少し、柚奈みたいになれたらいいのに。
「そんなこと言ってないで、がんばって。」
本当は、そんな風に言ってもらえて嬉しいのに、出てきたのは何の可愛げもない言葉。
そんな私に苦笑いをする。
「あー、じゃあ告白練習も無しですね。」
「…。」
すぐに反応ができない。
困っていると、
授業開始のチャイムがなった。
それを合図に動く。
「まあ柚奈の部活終わってから30分位なら、時間とれるかもね。」
早口で言って、足早に自分の席へと戻った。
窓側の前から3番目。
私の席から、真ん中の一番後ろの席の柚奈の様子は見えない。
もし見えたなら、授業中も、ずっと柚奈のことを見ていただろうな…なんて。
代わりに、英語の先生を観察していた。
意外と面白い。
だけどやっぱり飽きてしまって、自分の視界に入るクラスメートを一人ずつ観察する。
この中に、柚奈の好きな人はいるのかな。
熱い視線を送り続けていると、気付いて振り返った人がいた。
風見奏汰(かざみそうた)君。
同じ美術部で、席が近いから、まあまあ話すけど、教室では全くしゃべらない。
そもそも、私はアキや柚奈みたいに、男女関係なく親しく話したりなんてできない。
歩乃香はどちらかというと、私に近い。
でも私は歩乃香みたいに愛想があるわけじゃないし。
試しに風見君に微笑んでみたけど、すぐに目をそらされてしまった…。
ちょっと傷ついた。
けど、あんまり気にしないように、今度は窓に視線を移す。
程よく雲の出ている綺麗な青空だった。