少女達は夢に見た。
「私の初恋って、誰だったのかな。」
帰り道、柚奈に尋ねた。
柚奈の初恋は中一か中二で、相手は風見君。
私の問いに、不思議そうな顔をした。
「こうた君じゃないの?」
「は?」
「え?」
「こうた君って…小学校一年生の時の話じゃん。」
金山幸太(かなやまこうた)…だったけかな。
もう名前すらもあやふやだ。
たしか…みどり中に行ったんだっけ。
「それはさ、小さい子のあこがれ…みたいなさ。あるじゃん?」
初恋とは、ちょっと違うと思う。
クラスの女子半分は、幸太君のことが好きだったし。
「そうなの?じゃあ…藍原君?」
「藍原君…なの?」
4組の現学級委員。
藍原(あいはら)君。
5年生の時、半年くらい好きだった。
結局告白しないまま諦めちゃったけど。
「一瑠、消しゴムに名前書いてたじゃん?」
「……。」
書いてた。
書いてたよ。
なんで覚えてるんだよ。
「藍原君がユキちゃんのこと好きって知って泣きついてきたじゃん。」
「……。」
「それから、」
「もう止めて!!」
恥ずかしい。
恥ずかしいから。
耐えがたい黒歴史に、ストップをかける。
柚奈が面白そうに、ニヤニヤ。
「…なによ。」
「いや~?一瑠ってこういうのダメなんだね。」
そりゃあ、恥ずかしいよ。
て、なにが「弱点発見」だよ!?
でも、ちょっと不思議だった。
もう二度と、柚奈とこんな風に話したりはできないと思ってたから。
そんなこと、なかったんだ。
結局、私の初恋って、藍原君だったのかな。
柚奈と帰った後も、それが疑問だった。
確かに消しゴムに名前書いたよ。
好きな人がいるって知ってショックだったよ。
だけど。
目の前で初恋をしてる柚奈を見てると、
私の初恋の、なんて子供だったことか。
そもそも、あれは恋だったのか?
今になって考えると、全然違ったような気がする。
多分、私は
まだ
恋をしたことがない。
恋なんて、分からないよ。
「恵瑠ってさ、真琴ちゃんのこと好きなの?」
テレビを見ながら夕飯を食べているとき、ふと気にかかって聞いた。
「え?」
「あら、そうなの?」
なぜかお母さんまで話に入ってくる。
「ち、ちがうって!」
「ふーん?」
首を大きく横に振る。
まあ、そうなんだろうな。
真琴ちゃんは恵瑠のことが好きそうだったけど。
そんな否定したら可哀想だよ。
事情を知らないお母さんは、恵瑠の恋愛事情を根掘り葉掘り聞こうとする。
「そういえば、一瑠には好きな人とかいないの?」
「ご、ごちそうさま!!」
長くなりそうだったので、自室に逃げた。
さらば弟よ。
お姉ちゃんの分も頑張ってくれ。
帰り道、柚奈に尋ねた。
柚奈の初恋は中一か中二で、相手は風見君。
私の問いに、不思議そうな顔をした。
「こうた君じゃないの?」
「は?」
「え?」
「こうた君って…小学校一年生の時の話じゃん。」
金山幸太(かなやまこうた)…だったけかな。
もう名前すらもあやふやだ。
たしか…みどり中に行ったんだっけ。
「それはさ、小さい子のあこがれ…みたいなさ。あるじゃん?」
初恋とは、ちょっと違うと思う。
クラスの女子半分は、幸太君のことが好きだったし。
「そうなの?じゃあ…藍原君?」
「藍原君…なの?」
4組の現学級委員。
藍原(あいはら)君。
5年生の時、半年くらい好きだった。
結局告白しないまま諦めちゃったけど。
「一瑠、消しゴムに名前書いてたじゃん?」
「……。」
書いてた。
書いてたよ。
なんで覚えてるんだよ。
「藍原君がユキちゃんのこと好きって知って泣きついてきたじゃん。」
「……。」
「それから、」
「もう止めて!!」
恥ずかしい。
恥ずかしいから。
耐えがたい黒歴史に、ストップをかける。
柚奈が面白そうに、ニヤニヤ。
「…なによ。」
「いや~?一瑠ってこういうのダメなんだね。」
そりゃあ、恥ずかしいよ。
て、なにが「弱点発見」だよ!?
でも、ちょっと不思議だった。
もう二度と、柚奈とこんな風に話したりはできないと思ってたから。
そんなこと、なかったんだ。
結局、私の初恋って、藍原君だったのかな。
柚奈と帰った後も、それが疑問だった。
確かに消しゴムに名前書いたよ。
好きな人がいるって知ってショックだったよ。
だけど。
目の前で初恋をしてる柚奈を見てると、
私の初恋の、なんて子供だったことか。
そもそも、あれは恋だったのか?
今になって考えると、全然違ったような気がする。
多分、私は
まだ
恋をしたことがない。
恋なんて、分からないよ。
「恵瑠ってさ、真琴ちゃんのこと好きなの?」
テレビを見ながら夕飯を食べているとき、ふと気にかかって聞いた。
「え?」
「あら、そうなの?」
なぜかお母さんまで話に入ってくる。
「ち、ちがうって!」
「ふーん?」
首を大きく横に振る。
まあ、そうなんだろうな。
真琴ちゃんは恵瑠のことが好きそうだったけど。
そんな否定したら可哀想だよ。
事情を知らないお母さんは、恵瑠の恋愛事情を根掘り葉掘り聞こうとする。
「そういえば、一瑠には好きな人とかいないの?」
「ご、ごちそうさま!!」
長くなりそうだったので、自室に逃げた。
さらば弟よ。
お姉ちゃんの分も頑張ってくれ。