あたしの心、人混みに塗れて
「待って、ともママって今いくつ?」

「39。あたしは二十歳の時の娘」

「若いね。小さい頃からずっと思ってたけど、思ってた以上に若かった」

「父さんが48だからね。母さんが父さんの隣にいるとあまり歳相応に見られないらしいよ」


高校を卒業して一般企業に就職した母さんは、当時部署の部長だった父さんに一目惚れされ、間もなくあたしを授かった。弱冠二十歳で寿退社、妊娠をした母さんは周りから猛反対されたけどそれを押しのけあたしを出産した。その後、二人と和解したあたしの祖父母四人は、今ではあたし達孫を溺愛してくれている。


その3年後には双子を産んだ。それがあたしの弟達の慎也と絢也だ。


そして、その16年後に再び子供を産もうとしている。


「すごいねえ。うちの親はけっこう歳食ってから俺ら産んだから全然違う次元の話だねえ」

「あたしの父さんと同じくらい?」

「うん。母さんが28で姉ちゃん産んで、30で俺」

「うちの親が特殊なだけだよ」

「ともパパもすごいねえ。50間近でねえ」

「でも、世界じゃ95歳くらいのパパもいるらしいから、男は年齢関係ないんでしょ。父さん、昔から四人目欲しいってよく騒いでたし」

「出産、立ち会うの?」

「わかんない。今四ヶ月目らしいから、あと半年くらいかあ。その時になったら考える。蒼ちゃんも着いてくる?」

「ともママの許可が出たら考える」


アイスを食べながら、あたしはなんだか居心地の悪さを感じていた。


蒼ちゃんとこんな生々しい話をすることが、なんだか間違っていることのように感じていた。


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