あたしの心、人混みに塗れて
夜中、あたしは何度も寝返りを打っていた。
……ダメだ、眠れない。
台所に行って水を飲む。壁の時計は午前二時前を指していた。
ホットミルクを飲むとよく眠れるとは言うけど、あたしも蒼ちゃんもほとんど飲まない牛乳はここにはない。
「一人になりたくないなあ……」
一人で横になるとどうしても考えてしまう。嫌なのに、その光景が頭に浮かんでしまう。
「……とも?」
部屋から蒼ちゃんが顔を出した。
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「いや、起きてたから気にしないで」
「この時間まで? だから背伸びないんでしょ」
「余計なお世話だよ。ともは?」
「うん……ちょっと、寝れなくて」
誰かに頼りたいけど、さすがにこの状況での蒼ちゃんには頼りづらい。
前だったら蒼ちゃんの部屋にどかどか入ってたのになあ。
あたし達の関係は変わりつつある。
「お、おやすみ」
これ以上蒼ちゃんの顔を見たくなかった。
この間の夜のことも思い出してしまう。
足早にその場から立ち去ろうとしたら、その腕を蒼ちゃんに掴まれた。
「ともは強がりだね」
蒼ちゃんの瞳は、わずかに揺れていた。
「誰かに頼りたかったら俺を頼ればいいのに」
「いや、だって……」
「そのために、俺らって一緒に住んでるんじゃないの?」
蒼ちゃんの真剣な瞳から逃げ出したくなる。
なんか、強引だよ、蒼ちゃん。
わざと言っているのだろうか。
それとも、これが夜の蒼ちゃんなのだろうか。
「蒼ちゃんの、部屋に行きます……」
あたしは弱々しく答えることしかできなかった。
……ダメだ、眠れない。
台所に行って水を飲む。壁の時計は午前二時前を指していた。
ホットミルクを飲むとよく眠れるとは言うけど、あたしも蒼ちゃんもほとんど飲まない牛乳はここにはない。
「一人になりたくないなあ……」
一人で横になるとどうしても考えてしまう。嫌なのに、その光景が頭に浮かんでしまう。
「……とも?」
部屋から蒼ちゃんが顔を出した。
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「いや、起きてたから気にしないで」
「この時間まで? だから背伸びないんでしょ」
「余計なお世話だよ。ともは?」
「うん……ちょっと、寝れなくて」
誰かに頼りたいけど、さすがにこの状況での蒼ちゃんには頼りづらい。
前だったら蒼ちゃんの部屋にどかどか入ってたのになあ。
あたし達の関係は変わりつつある。
「お、おやすみ」
これ以上蒼ちゃんの顔を見たくなかった。
この間の夜のことも思い出してしまう。
足早にその場から立ち去ろうとしたら、その腕を蒼ちゃんに掴まれた。
「ともは強がりだね」
蒼ちゃんの瞳は、わずかに揺れていた。
「誰かに頼りたかったら俺を頼ればいいのに」
「いや、だって……」
「そのために、俺らって一緒に住んでるんじゃないの?」
蒼ちゃんの真剣な瞳から逃げ出したくなる。
なんか、強引だよ、蒼ちゃん。
わざと言っているのだろうか。
それとも、これが夜の蒼ちゃんなのだろうか。
「蒼ちゃんの、部屋に行きます……」
あたしは弱々しく答えることしかできなかった。