あたしの心、人混みに塗れて
二人が着いた先は大学から徒歩5分の、小洒落たカフェだった。


考えていることはみんな一緒で、店の席にはカップルがたくさん座っていた。もちろん、女の子ばかりの席もある。


「ここ、一度来てみたかったんだ」

「来たことなかったの?」


「智子、甘いもの好きだから一人でも来そうなのに」と、満面の笑みのあたしに昌人は柔らかい笑みで答えた。


「ここいつもカップルばかりなんだもん。独り身のあたしが寂しく一人でケーキ食べてる姿なんて見られたくない」

「じゃ、俺と来れてよかったじゃん」

「うん、よかった」


昌人は本当に優しい人だ。


あたしは紅茶とイチゴのタルト、昌人はコーヒーと抹茶のケーキを頼んで席についた。


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