あたしの心、人混みに塗れて
「うっそ。まだしてないの? 蒼大くん、ゲイなの? それともともがガード固いの?」
「娘になんてこと聞いてんのよ……」
「あら、絢はもう彼女とやったらしいわよ。慎はまだ彼女すらできてないけど」
「…………」
あたしは開いた口が塞がらなかった。
この家族、いろいろおかしいだろ。
息子に何聞いてるんですか、この母親は。
「……蒼ちゃんは、あたしのことなんか女として見てないよ。だから今まで一緒に暮らしてこれたんだし」
「とも、母さんはそのために蒼大くんと暮らさせてるわけじゃないのよ」
「……はい?」
母さんの言葉の意味が理解できない。
「ともってほんと鈍いわよねえ。昔っから蒼大くんにべったりで、だから父さんが転勤になったときに着いて行こうと思ったら『そーちゃんと離れるくらいなら死んだ方がましだ』なんて暴れちゃって、それで父さんだけ単身赴任になったのよ」
「そうだっけ……」
「周りから見たら蒼大くんしか見てないのに、他の男の子ばっかり好きになっちゃって、その度に振られたでしょ。いつになったら自分の気持ちに気付くんだって、だから母さんあなた達二人の同居を勧めたのよ。蒼大くんが無理やりにでもやっちゃえばともも少しは自覚するかなって」
「母さん? 娘に何させようとしてんの?」
親が娘にすることですか?
大事な娘を、昔から知っているとはいえ赤の他人の男に犯させようとしてますよ。蒼ちゃんをそそのかしてますよ、この人。
「言っとくけど、蒼大くんはとものことちゃんと女として見てるわよ。蒼大くん、男にキスするとかそういう性癖を持ってるわけじゃないでしょ?」
「そ、それはないと思うけど……」
一応、女のセフレいるし。そういう光景とか見たことないし。
「恋愛対象として見てるかは本人にしかわからないけど、ともを女として見てることは確かよ。蒼大くん、ともに対しては昔からキス魔だからね」
「……関係あるのかな、それ」
もう一度言うけど、こんな会話を母親がしていて、これから生まれてくる赤ちゃんの発育に悪影響がないかとても心配である。
「娘になんてこと聞いてんのよ……」
「あら、絢はもう彼女とやったらしいわよ。慎はまだ彼女すらできてないけど」
「…………」
あたしは開いた口が塞がらなかった。
この家族、いろいろおかしいだろ。
息子に何聞いてるんですか、この母親は。
「……蒼ちゃんは、あたしのことなんか女として見てないよ。だから今まで一緒に暮らしてこれたんだし」
「とも、母さんはそのために蒼大くんと暮らさせてるわけじゃないのよ」
「……はい?」
母さんの言葉の意味が理解できない。
「ともってほんと鈍いわよねえ。昔っから蒼大くんにべったりで、だから父さんが転勤になったときに着いて行こうと思ったら『そーちゃんと離れるくらいなら死んだ方がましだ』なんて暴れちゃって、それで父さんだけ単身赴任になったのよ」
「そうだっけ……」
「周りから見たら蒼大くんしか見てないのに、他の男の子ばっかり好きになっちゃって、その度に振られたでしょ。いつになったら自分の気持ちに気付くんだって、だから母さんあなた達二人の同居を勧めたのよ。蒼大くんが無理やりにでもやっちゃえばともも少しは自覚するかなって」
「母さん? 娘に何させようとしてんの?」
親が娘にすることですか?
大事な娘を、昔から知っているとはいえ赤の他人の男に犯させようとしてますよ。蒼ちゃんをそそのかしてますよ、この人。
「言っとくけど、蒼大くんはとものことちゃんと女として見てるわよ。蒼大くん、男にキスするとかそういう性癖を持ってるわけじゃないでしょ?」
「そ、それはないと思うけど……」
一応、女のセフレいるし。そういう光景とか見たことないし。
「恋愛対象として見てるかは本人にしかわからないけど、ともを女として見てることは確かよ。蒼大くん、ともに対しては昔からキス魔だからね」
「……関係あるのかな、それ」
もう一度言うけど、こんな会話を母親がしていて、これから生まれてくる赤ちゃんの発育に悪影響がないかとても心配である。