あたしの心、人混みに塗れて
次の日は日曜日で、あたしは珍しく7時過ぎに目が覚めた。


昨日の夜、あんなことをされたら寝付けるものも寝付けない。


目を閉じる度にあたしの上に跨がった蒼ちゃんが思い出されるから。


……変態か、あたしは。


蒼ちゃんはまだ起きていなくて、あたしは珍しく簡単に朝食を作った。朝食はほとんど毎日蒼ちゃんが作ってくれている。


なんとなくお腹がすいていなくて味噌汁だけ飲んだ。


……蒼ちゃん、まだ怒ってるかな。


味噌汁を飲み終えてから蒼ちゃんの部屋に忍び込んだ。


案の定蒼ちゃんは寝ていた。


ベッドの傍に膝をつくと、綺麗な寝顔に思わずため息が漏れそうになる。


あたしも人のこと言えないか。人が寝ているところに来るなんて。


まあ、蒼ちゃんみたいに人の布団に潜ったりはしないけど。


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