あたしの心、人混みに塗れて
15年、いや、19年も経つのか。
彼とは生まれた時からいつも一緒だった。
家が隣同士で、母親達は一緒にあたし達を育ててきた。
「ともちゃーん! あそぼー!」
幼稚園に入ると、彼は毎日、家中に響き渡るくらいの大きな声であたしを呼びに来た。
そして、その声がたまらなく好きで、あたしは毎日彼と遊んだ。
「そーちゃん、すき!」
「ぼくも、ともちゃんすきいー!」
そう言い合ったことも数えきれないほどある。
また、彼は泣き虫で、よくあたしに慰められていた。
「ともちゃん、ころんだあー!」
例え遠くで転んでも、彼はわざわざあたしの元まで来て泣いた。
今思えば、彼は両親以外に、あたしにだけ甘えられたのだと思う。
痛みでわんわんぎゃんぎゃん泣き叫ぶ彼を、あたしは頭を撫で、時には抱きしめた。
「そんなにないてると、そーちゃんのこときらいになっちゃうよ」
もちろん嘘なのだが、あたしが彼の耳元で言うと、彼はぴたりと泣き止んだ。
「……きらいにならない?」
彼の瞳にはまだ大粒の涙が溜まって、それでも泣くのを堪えてあたしをじっと見つめる彼に、あたしは笑って応えた。
「ならない!」
次の日にはまた同じことを繰り返していたのだけれど、そんな彼がなぜだか愛おしかった。
彼とは生まれた時からいつも一緒だった。
家が隣同士で、母親達は一緒にあたし達を育ててきた。
「ともちゃーん! あそぼー!」
幼稚園に入ると、彼は毎日、家中に響き渡るくらいの大きな声であたしを呼びに来た。
そして、その声がたまらなく好きで、あたしは毎日彼と遊んだ。
「そーちゃん、すき!」
「ぼくも、ともちゃんすきいー!」
そう言い合ったことも数えきれないほどある。
また、彼は泣き虫で、よくあたしに慰められていた。
「ともちゃん、ころんだあー!」
例え遠くで転んでも、彼はわざわざあたしの元まで来て泣いた。
今思えば、彼は両親以外に、あたしにだけ甘えられたのだと思う。
痛みでわんわんぎゃんぎゃん泣き叫ぶ彼を、あたしは頭を撫で、時には抱きしめた。
「そんなにないてると、そーちゃんのこときらいになっちゃうよ」
もちろん嘘なのだが、あたしが彼の耳元で言うと、彼はぴたりと泣き止んだ。
「……きらいにならない?」
彼の瞳にはまだ大粒の涙が溜まって、それでも泣くのを堪えてあたしをじっと見つめる彼に、あたしは笑って応えた。
「ならない!」
次の日にはまた同じことを繰り返していたのだけれど、そんな彼がなぜだか愛おしかった。