あたしの心、人混みに塗れて
あたしの部屋で二人で向かい合って座って昼ご飯を食べ始めた。


「蒼ちゃん、午後は?」

「ない。部活だけ行ってくる」

「ふうん」


あたしが味噌汁をちびちびと飲んでいる間に、蒼ちゃんのご飯はあっという間になくなっていた。


「あ、とも、このしば漬けおいしいよ」


蒼ちゃんが白い皿に入ったピンク色の漬物を差し出した。


「……ん、ありがと」

「味噌汁はどう?」

「おいしいよ」

「よかった」


蒼ちゃんは笑ってあたしに手を伸ばしかけたところで引っ込めた。


「いっけね。お触り禁止令出てたんだった」


「一週間の我慢だぞ、俺」なんて自分に言い聞かせる蒼ちゃんはやはり可愛い。


それと同時に、申し訳ないと思う気持ちが一気に溢れ出してきて、あたしは俯いてこれ以上蒼ちゃんの顔が見れなかった。


何をしているんだか、あたしは。


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