あたしの心、人混みに塗れて
喧嘩だ。蒼ちゃんはそれしか言わなかった。だから、あたしも詳しくは聞かなかった。
蒼ちゃんはそれから喧嘩をして帰ってくることが増えた。今までこんなことはなかった。小さい頃は泣き虫であたしの後ろにいた蒼ちゃんが喧嘩に混ざることはなくて、いつもびくびくと怯えているばかりだった。
喧嘩したと言って帰ってきた日は常にどこかしらに傷を付けてきたから、絡まれたのは確実だろう。蒼ちゃんは自分から人を傷付けることは決してしない。
その度に蒼ちゃんはあたしを無理やり抱いた。
「近づかないでって言ってんのに、ともも物好きだねえ」
懲りずに毎回蒼ちゃんに近づいて、抱かれに行っているあたしもあたしだ。
「そんなに俺に激しく抱かれるのが好きなの? ともってドM?」
「どちらかと言えば嫌い。それにあたしはMじゃない」
「じゃ、ただの変態だね」
激しかった次の日、蒼ちゃんは必ず優しくあたしに触れる。抱くというよりは触れるという表現の方が近い。壊れてもいないのに、壊れ物のように扱う。
あたしはそこまで弱くないのに。
蒼ちゃんはそれから喧嘩をして帰ってくることが増えた。今までこんなことはなかった。小さい頃は泣き虫であたしの後ろにいた蒼ちゃんが喧嘩に混ざることはなくて、いつもびくびくと怯えているばかりだった。
喧嘩したと言って帰ってきた日は常にどこかしらに傷を付けてきたから、絡まれたのは確実だろう。蒼ちゃんは自分から人を傷付けることは決してしない。
その度に蒼ちゃんはあたしを無理やり抱いた。
「近づかないでって言ってんのに、ともも物好きだねえ」
懲りずに毎回蒼ちゃんに近づいて、抱かれに行っているあたしもあたしだ。
「そんなに俺に激しく抱かれるのが好きなの? ともってドM?」
「どちらかと言えば嫌い。それにあたしはMじゃない」
「じゃ、ただの変態だね」
激しかった次の日、蒼ちゃんは必ず優しくあたしに触れる。抱くというよりは触れるという表現の方が近い。壊れてもいないのに、壊れ物のように扱う。
あたしはそこまで弱くないのに。