あたしの心、人混みに塗れて
あの日、衣類が詰まったキャリーケースと必要最小限のものを持ったあたしは、部活が終わる蒼ちゃんを待たないで実家に帰った。
『同棲は解除させていただきます。大きい荷物は段ボールに着払いの伝票を貼ったのでお手数ですがコンビニに持って行ってください』
そう置き手紙を残して、あたしはあの家を出た。メールだと家に帰る前に気付かれる可能性が高いと思ったからやめた。気付かれるのはなるべく時間がかかった方がいい。
駅で新幹線の自由席を取って、運よく空いていた席に座っても涙は出なかった。スマホの電源は切っていた。
これ以上蒼ちゃんの傍にいてはいけない。それがあたしが下した決断だった。
家に帰って、まず最初に母さんに叱られた。授業はどうしたのだと。あたしはこれまでのことを全部話して、二週間だけここに置いてほしいと頼んだ。
『同棲は解除させていただきます。大きい荷物は段ボールに着払いの伝票を貼ったのでお手数ですがコンビニに持って行ってください』
そう置き手紙を残して、あたしはあの家を出た。メールだと家に帰る前に気付かれる可能性が高いと思ったからやめた。気付かれるのはなるべく時間がかかった方がいい。
駅で新幹線の自由席を取って、運よく空いていた席に座っても涙は出なかった。スマホの電源は切っていた。
これ以上蒼ちゃんの傍にいてはいけない。それがあたしが下した決断だった。
家に帰って、まず最初に母さんに叱られた。授業はどうしたのだと。あたしはこれまでのことを全部話して、二週間だけここに置いてほしいと頼んだ。