あたしの心、人混みに塗れて
その後、あたしは蒼ちゃんの手によって服を脱がされた。


久しぶりでガチガチになっているあたしを、蒼ちゃんはゆっくりとほぐすように触れた。


「ずっとともに触れたかった……」


そう言う蒼ちゃんもあまり余裕がないようだったけど、それでも優しかった。


蒼ちゃんはどこまでも優しい。


あたしの体は蒼ちゃんの手によって徐々に熱を帯びていく。


蒼ちゃんの唇が触れるたびにあたしの体は敏感になっていく。


「蒼ちゃん…………」

「ん?」


呼びかけると、蒼ちゃんはあたしの顔を覗き込んで額に唇を落とした。


「夢…………かな」

「夢じゃないよ」


蒼ちゃんは微笑んで今度は唇にキスをした。


本当に現実なのだろうか。


蒼ちゃんの温もりも、触れる指や唇も、現実味がまるでない。


目が覚めたら、いつもの色のないモノクロの世界だろうか。


「…………とも」


あたしを呼ぶ蒼ちゃんの声も、全て夢で幻だろうか。


夢なら、二度と覚めないで。


そう思いながら、あたしは蒼ちゃんの熱に侵されていった。


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