あたしの心、人混みに塗れて
大学で会えばちょくちょく話すし、週2のデートも欠かさない。毎日連絡を取る。
昌人と一緒にいるときは常に楽しかったし、昌人の家に行っても気を使ってくれるのが嬉しかった。
それがあたしには習慣になっていて、途絶えることはなかった。
それが急に途絶えたのは、あたしが昌人を拒否してから三ヶ月が経った頃だった。
ある金曜日だった。あたし達は一緒に帰っていた。
「智子ってさ、幼なじみと住んでるんだよな」
「うん、そうだけど」
蒼ちゃんと一緒に住んでいることは、あたし達が付き合う前から知っていることだった。
「男、だよな」
「うん。でも何もないよ。蒼ちゃんもあたしが昌人と付き合ってること知ってるし」
まあ、あらゆることを話していることは隠しておこう。
なんだか怒られそうだ。
「そっか…………」
昌人は何かを考えているように、しばらく黙った。
こういうときは邪魔をしないほうがいい。あたしも昌人が口を開くまで待っていた。
「ところでさ、俺、明日と明後日急にバイト入っちゃってさ。智子と会えないんだ」
「あ、そうなんだ。全然大丈夫だよ」
今まで週末はずっと一緒にいたからちょっと寂しい気持ちになったけど、あたしは平然と答えた。
「ごめんね。来週埋め合わせするから」
「じゃあ、ご飯食べに行こう」
「わかった」
「バイト頑張って」
あたしが笑いかけると、昌人はあたしの額に唇を落として「じゃあね」と、あたしに背を向けて帰っていった。
週末会えなくなったのは残念だけど、まあ仕方ないか。蒼ちゃんに構ってもらおうっと。
そう思って、重く受け止めなかった。
あたし達には明日があると信じて疑わなかった。
昌人と一緒にいるときは常に楽しかったし、昌人の家に行っても気を使ってくれるのが嬉しかった。
それがあたしには習慣になっていて、途絶えることはなかった。
それが急に途絶えたのは、あたしが昌人を拒否してから三ヶ月が経った頃だった。
ある金曜日だった。あたし達は一緒に帰っていた。
「智子ってさ、幼なじみと住んでるんだよな」
「うん、そうだけど」
蒼ちゃんと一緒に住んでいることは、あたし達が付き合う前から知っていることだった。
「男、だよな」
「うん。でも何もないよ。蒼ちゃんもあたしが昌人と付き合ってること知ってるし」
まあ、あらゆることを話していることは隠しておこう。
なんだか怒られそうだ。
「そっか…………」
昌人は何かを考えているように、しばらく黙った。
こういうときは邪魔をしないほうがいい。あたしも昌人が口を開くまで待っていた。
「ところでさ、俺、明日と明後日急にバイト入っちゃってさ。智子と会えないんだ」
「あ、そうなんだ。全然大丈夫だよ」
今まで週末はずっと一緒にいたからちょっと寂しい気持ちになったけど、あたしは平然と答えた。
「ごめんね。来週埋め合わせするから」
「じゃあ、ご飯食べに行こう」
「わかった」
「バイト頑張って」
あたしが笑いかけると、昌人はあたしの額に唇を落として「じゃあね」と、あたしに背を向けて帰っていった。
週末会えなくなったのは残念だけど、まあ仕方ないか。蒼ちゃんに構ってもらおうっと。
そう思って、重く受け止めなかった。
あたし達には明日があると信じて疑わなかった。