あたしの心、人混みに塗れて
「蒼ちゃん、ごめんね」
もそもそと蒼ちゃんの腕の中で動いて、ようやく蒼ちゃんから離れた。
「いいよ」
蒼ちゃんは柔らかい笑みを見せた。
「ごめんね。いつもあたしに付き合わせちゃって」
「え、ともがそんなこと気にしてたなんて意外なんだけど」
「蒼ちゃん、失礼」
「あはは、ごめんごめん」
蒼ちゃんがあたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「俺はともの相談係なんだから、遠慮なんかしないでよ。一人で塞ぎ込むともを見るのは俺も辛いんだから」
「……でも、蒼ちゃんの話とか全然聞けてないから、あたしばっかり悪いなって」
「俺は全然大丈夫だよ。ともは気にしなくていいのー」
ね? と顔を覗き込むけど、あたしとしてはなんだか釈然としない。
「……でも」
「だから大丈夫だって」
「ほんとに?」
「うん」
「ほんとにほんと?」
「ほんとおー。とも、しつこい」
「……だって」
最近あたしの話ばっかり食卓に出てて、蒼ちゃんの話はさっぱり聞いてなかったし。
フェアじゃないし、なんだか悪いって思うじゃん。
「じゃ、何かお礼してよ」
「お礼?」
「ともを毎回慰めたお礼」
「……恩着けがましい」
「最初に言ったのはともでしょー?」
「そうだけど」
「んー。そうだねえ」
蒼ちゃんはニコニコしながらあたしの眼鏡を外した。
もそもそと蒼ちゃんの腕の中で動いて、ようやく蒼ちゃんから離れた。
「いいよ」
蒼ちゃんは柔らかい笑みを見せた。
「ごめんね。いつもあたしに付き合わせちゃって」
「え、ともがそんなこと気にしてたなんて意外なんだけど」
「蒼ちゃん、失礼」
「あはは、ごめんごめん」
蒼ちゃんがあたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「俺はともの相談係なんだから、遠慮なんかしないでよ。一人で塞ぎ込むともを見るのは俺も辛いんだから」
「……でも、蒼ちゃんの話とか全然聞けてないから、あたしばっかり悪いなって」
「俺は全然大丈夫だよ。ともは気にしなくていいのー」
ね? と顔を覗き込むけど、あたしとしてはなんだか釈然としない。
「……でも」
「だから大丈夫だって」
「ほんとに?」
「うん」
「ほんとにほんと?」
「ほんとおー。とも、しつこい」
「……だって」
最近あたしの話ばっかり食卓に出てて、蒼ちゃんの話はさっぱり聞いてなかったし。
フェアじゃないし、なんだか悪いって思うじゃん。
「じゃ、何かお礼してよ」
「お礼?」
「ともを毎回慰めたお礼」
「……恩着けがましい」
「最初に言ったのはともでしょー?」
「そうだけど」
「んー。そうだねえ」
蒼ちゃんはニコニコしながらあたしの眼鏡を外した。