あたしの心、人混みに塗れて
それでもシュークリームを頬張る蒼ちゃんの姿は、本当に可愛い。


デザートが大好きな蒼ちゃんは、本当にお菓子とのツーショットが似合う。個人的に写真集を出してもらいたいくらい似合う。


洋菓子だけじゃなくてあんこがたっぷり入った和菓子まで似合うのだから、本当に罪だ。


「おいしかったあ。ごちそうさまあ」


男の子らしく、吸い込むようにあっという間にシュークリームを食べ終えた蒼ちゃんは満面の笑みを浮かべていた。


「蒼ちゃん、シュークリームも作れるんじゃない? 今度作ってみてよ」


料理が上手な蒼ちゃんの趣味の一つはお菓子作りだ。こんな狭い家でも、蒼ちゃんのためにオーブンレンジやお菓子作りに必要な器具は一通り揃っている。


「うーん。シュークリームは作るの難しいんだよねえ。昔実家で作ってみたことがあるけど、シュー生地がうまく膨らまなくてさ」

「へえ。パイ生地作るのは得意なのに」

「パイはともが好きだからだよ。食べたいって言って昔からよく作ってたしね」

「じゃあ、今度はレモンパイ作ってよ」


あたしが目を輝かせて蒼ちゃんに言うと、蒼ちゃんがくすっと笑った。


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