あたしの心、人混みに塗れて
「ご、ごめんなさい…………」
食卓に上がったのは、結局焦げてしまった一口カツ。
それと、通常営業のご飯とあおさの味噌汁とレタスとミニトマト。
蒼ちゃんの大好物を振る舞ってあげたかったのに。
申し訳なくて顔を伏せていると、蒼ちゃんの口に一口カツが吸い込まれていく。
「大丈夫だよ。焦げてるのは衣だけだし。おいしいよ」
蒼ちゃんは優しいけど、お世辞は決して言わない。素直で、いつでも本当のことを口にする。
あたしも恐る恐る自分のカツを口にする。
「大丈夫でしょ?」
「ん…………」
自分で作ったものを蒼ちゃんに確かめてもらうあたしは、なんて小心者なんだ。
「ありがと。すごいうまいよ」
蒼ちゃんが手を伸ばして、あたしの頭を撫でて笑った。
「でも、料理中ぼーっとしてるなんてともらしくないね。なんか考え事でもしてたの?」
蒼ちゃんは何の考えも無しにさらっと言ったんだろうけど、見事に図星であたしはうっと唸ってしまった。
「まさか、俺のこと考えてたとか?」
にやりと笑った蒼ちゃんの言葉はこれまた図星で、あたしは蒼ちゃんから目を逸らして、別に……と呟いた。
それを見た蒼ちゃんはふは、と笑って冗談だってーとけらけら笑っていた。
食卓に上がったのは、結局焦げてしまった一口カツ。
それと、通常営業のご飯とあおさの味噌汁とレタスとミニトマト。
蒼ちゃんの大好物を振る舞ってあげたかったのに。
申し訳なくて顔を伏せていると、蒼ちゃんの口に一口カツが吸い込まれていく。
「大丈夫だよ。焦げてるのは衣だけだし。おいしいよ」
蒼ちゃんは優しいけど、お世辞は決して言わない。素直で、いつでも本当のことを口にする。
あたしも恐る恐る自分のカツを口にする。
「大丈夫でしょ?」
「ん…………」
自分で作ったものを蒼ちゃんに確かめてもらうあたしは、なんて小心者なんだ。
「ありがと。すごいうまいよ」
蒼ちゃんが手を伸ばして、あたしの頭を撫でて笑った。
「でも、料理中ぼーっとしてるなんてともらしくないね。なんか考え事でもしてたの?」
蒼ちゃんは何の考えも無しにさらっと言ったんだろうけど、見事に図星であたしはうっと唸ってしまった。
「まさか、俺のこと考えてたとか?」
にやりと笑った蒼ちゃんの言葉はこれまた図星で、あたしは蒼ちゃんから目を逸らして、別に……と呟いた。
それを見た蒼ちゃんはふは、と笑って冗談だってーとけらけら笑っていた。