あたしの心、人混みに塗れて
早く帰りたいわあ…………。


いつまでやってるの? と直前に蒼ちゃんに聞いたら、大抵は午前様になる前に終わるよと言っていた。


スマホをいじって時刻を確かめる。あと四時間もあるじゃんか。6時間も同じ場所でわいわいやってるの? 店のいい迷惑だな。


これだから、飲み会は好きじゃないのだ。社会人になって困らないようにと渋々参加する人もいるけど、ただ単にお酒が飲みたいだけの奴らの集まりじゃないか。


しかも、あたしのコースじゃ毎週末は必ず飲み会を開いていると小耳に挟んだことがある(まだ昌人と付き合っていた頃に偶然耳に入ってきたものだ)。みんなよくそれだけのお金あるよね。


蒼ちゃんの学科も毎週のように飲み会があるらしく、蒼ちゃんは当然毎回誘われているらしいけど、二回に一回は断っている。行きたいなら行けばいいのに。なんで? と聞いたことがある。蒼ちゃんはニコニコと笑って、『毎週土曜に飲んで日曜潰すのもったいないじゃん。金の無駄。俺と仲いい奴が幹事やってるから付き合いとして一応二回に一回は参加してるけど』と答えたから、あたしはふうんと相槌を打った。


それが本意ならあたしは口を出す気はない。


『まあ、それに』

『え?』


その時あたしがご飯を食べ終えて食器を流しに置いていると、後ろから声が聞こえた。


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