あたしの心、人混みに塗れて
「とも、あと10分で出るよー」
はっとすると、蒼ちゃんは茶碗を台所の流しに片付けていた。
「うっそ、やばっ!」
壁の掛け時計は8時半に指していた。あたしは慌ててご飯を味噌汁で喉に流し込んで、どたばたと部屋に戻って簡単に化粧をした。
下地とファンデを塗って、アイラインを引いて、慌ただしく口紅を塗る。ええい、マスカラとアイシャドーとチークはもういいや。
それから考える間もなく、目に止まったブラウスとカーディガンとタイツとショートパンツを身につけた。
「ともー。俺行くよー」
部屋の外から蒼ちゃんの声が聞こえる。
「あと30秒!」
講義で使うテキストを鞄に詰め込んで、鏡を覗き込んで最終チェック。よし、おかしくはない。
コートを手に持って玄関でパンプスを引っ掛けて外に出ると、蒼ちゃんが立っていた。
「遅ーい。とも」
「ごめんごめん。行こう」
蒼ちゃんの隣で歩き出す。大学までは徒歩5分だ。
「あれ、とも」
歩きながら、蒼ちゃんがあたしの顔を覗き込んだ。
はっとすると、蒼ちゃんは茶碗を台所の流しに片付けていた。
「うっそ、やばっ!」
壁の掛け時計は8時半に指していた。あたしは慌ててご飯を味噌汁で喉に流し込んで、どたばたと部屋に戻って簡単に化粧をした。
下地とファンデを塗って、アイラインを引いて、慌ただしく口紅を塗る。ええい、マスカラとアイシャドーとチークはもういいや。
それから考える間もなく、目に止まったブラウスとカーディガンとタイツとショートパンツを身につけた。
「ともー。俺行くよー」
部屋の外から蒼ちゃんの声が聞こえる。
「あと30秒!」
講義で使うテキストを鞄に詰め込んで、鏡を覗き込んで最終チェック。よし、おかしくはない。
コートを手に持って玄関でパンプスを引っ掛けて外に出ると、蒼ちゃんが立っていた。
「遅ーい。とも」
「ごめんごめん。行こう」
蒼ちゃんの隣で歩き出す。大学までは徒歩5分だ。
「あれ、とも」
歩きながら、蒼ちゃんがあたしの顔を覗き込んだ。