Under The Darkness
「それは私にとって最高の賛辞ですね」
うっすらと、唇に残忍な笑みを刻む。
京介君の言葉に傷つく私を見て、愉しんでいるのだとはっきり分かった。
「死ね! 死んでまえ!」
「その時は、貴女も道連れにします」
――貴女をひとり、この世になど残しては逝けないから。
愛する者に囁くような甘さを伴って、私の耳朶に毒を流し込む。死してなお縛り付けようとする傲慢な男に、私は彼の憎悪の深さを知った。
涙の滲む目を、ギュッと閉じる。
こんなん慣れてる。さんざん味わった。
じっとしてたら終わる。目を瞑って我慢してたら終わる。
嵐は私を翻弄した後、必ず去るのだから。
さっさと終わらせろとばかりに、私は身体の力を抜いた。
私の諦めを感じとったのか、固く目を閉ざす私の顔を、京介君は容赦なく掴み上げた。
「目を背けるな。今からお前を抱く男は、あの忌まわしい男ではない。目を開けて見ろ」
私の身体が京介君の大きな黒い影に包まれる。激しい苛立ちを乗せた低い声で私を恫喝する。
目を開けた私はそれを目の当たりにして、恐ろしさに舌が口の中で縮こまり言葉を紡ぐことさえ出来なくなる。
「……貴女の中に、他の男の影が欠片でもあるのが許せない。貴女の心を占める忌まわしい男の影を、全て消し去ります。そして、美里さんの心に、その身体に」
京介君の手が着ていた私のガウンを乱暴に割り開いた。
「拭えないほど深く、私を刻んでやる」