Under The Darkness
『わかった。ほんなら東京駅で落ち合おう』
「うん! 多分夕方の6時頃には着いてる思う」
『よっしゃ! 逃げ切れよ、みぃちゃん!』
「鬼ごっこ得意なん知ってるやろ」
『かくれんぼも得意やもんな』
その通りだと得意げに胸を張る。
色んな経験から、逃げる知恵だけはついた。
だから、私は鬼ごっこやかくれんぼは得意中の得意なのだ。
「せや! ほんならな、切るで!」
『おう、待っとるで』
「ラジャッ!」
電話を切ると、私は地元の人間しか知らない細い入り組んだ道を駆け抜けた。
このまま大通りに出て、タクシーを拾って新大阪の駅まで行こう。京介君に追いつかれるわけには行かないから、多少の出費も今は目をつむる。
お父さんに携帯番号を聞いていたんだけど、私はなにせ記憶力が悪い。特に数字は覚えられない。なので、やはり京介君がいない平日を狙って馬淵邸へ行くしかないと頭の中で計画を立てた。
その時、視界を黒い影が横切った。