Under The Darkness



 消えた豪の行方を、彼の親は知らない。

 ――まさか。いや、『やはり』。

 京介君が豪に何かしたのかもしれないと疑念が湧く。


 ――何を……したの?


 恐れの浮かぶ双眸で京介君を見つめ返した。


「……殺したんか?」


 絞り出すような豪の父親の声に、ビクリと私の身体が揺れた。

 いくらなんでも飛躍しすぎだ。ありえない。

 そう思うけれど、無表情のまま反応を示さない京介君に、ぞくりと怯えが走った。


「さあ。私は一般人なので、詳細は父に聞いて下さい」


 ――まあ、姉を連れ去ろうとしている時点で、父の怒りを買うのは必至ですが。


 京介君は腹黒い笑みを浮かべながらくつくつ肩を揺らせて嗤う。


「……なに嗤ろとんじゃ、おどれ《お前》。おかしい思たんや。やっぱり殺したんやな、息子……おんどれら《お前達》が殺ったんやな!! ちくしょうっ!」


 顔を紅潮させ憎悪に吠える豪の父親が動いた。

 視界の端を掠めた光るモノ。


< 141 / 312 >

この作品をシェア

pagetop