Under The Darkness
「と、とにかく逃げるで!」
私はおろおろと辺りに視線を流し、京介君の手を取った。
京介君はきょとんとした顔で、頭を横に傾ける。
「どこに?」
「チッ、もっかいアパート!」
このまま逃げ切れてたら東京行きの新幹線に乗れてたはずなのに。
悠宇に連絡しなきゃ。時間通りに行けそうにないって。
私はイライラと京介君の手を握ったまま走り出した。
「また疾走?」
「誰のせいや思てんねん!」
「貴女が逃げ出したせいじゃないんですか」
「アンタが追っかけてくるからやろがっ!!」
「逃げるからでしょう」
ダメだ。堂々巡りになってる。
私はむっつりと黙り込んでしまう。そのまま無言でアパートまで疾走した。