Under The Darkness
アパートに着いた途端、私は畳の上にヘナヘナと座り込み、放心してしまう。
外からパトカーのサイレンが聞こえて来て、心臓がキュッと掴まれる。
ちらりと京介君を窺ったら、鬼のような形相で私をじっとりと睨んでいて。
「貴女、本当にいい度胸してますね」
狭いアパートの部屋で、京介君は長いコートを足でさばきながら私に近付いてくる。
彼の全身から発せられる怒りのオーラが肌に突き刺さるようで、逃れるように後退り、背中に壁がぶち当たった。
「い、いい度胸って……アンタ、豪に何したんや」
「なにもしてませんよ?」
私の疑問に、京介君は取ってつけたような優等生な微笑みを浮かべる。
隠そうとしているのだと、はっきりと悟った。
豪の父親が言ったセリフ。
『殺したんか』
それは絶対ありえないと思いながらも、不安は拭えなくて。
豪の父親に嬉々として暴力を奮っていた京介君の姿が脳裏をよぎる。
――違う、違う!そんなんするわけない!任侠ドラマの見すぎやねん!
私はその考えを追い払うように、頭をぶるりと振った。