Under The Darkness






「え」


 ギクリと体が強ばった。

 私の一瞬の動揺を見て、京介君が愉しげに嗤う。


「背中に回した手で、必死に弄ってましたね。……誰?」


 ――誰に連絡したんですか?


 問いながら、頭を掴む反対側の手が私のお尻側のポケットを触る。

「あっ」と声を上げ、私は身体を捩った。


 ――携帯、奪われる!!


 そうはさせるかと、壁にすりより奪われまいと抵抗する。


「見せなさい」


 怒気を孕んだ低い声に、また泣きそうに顔が歪んでしまう。


「あまり私をイラつかせるな」


「あっ、やめっ」


 京介君は私のポケットから携帯を奪い取る。

 取り返そうと伸ばした私の腕を叩き落とし、そして、画面に表示された名前を確認した京介君は、忌々しげに眉をひそめた。


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