Under The Darkness





 ドスンと頭を打つ鈍い音。

 したたかに頭を打ち付けて、畳の上に力なく横たわる私の目の前にちらちらとした光が舞う。

 京介君は電話を脇に放り投げて、目を回す私の上を跨ぐようにして乗っかってきた。

 私の頭を挟み込むようにして両耳の横に手をつき、腰を屈め、唇に噛みついてくる。


「いやっ、痛っ」


 がりっと音がして、唇から脳天にかけて突き抜けるような激痛が走った。口の中に鉄錆に似た味が広がる。

 傷つけた唇を京介君が舌で舐めとり、そのまま深く舌を絡めてきて。


 目の奥が熱を持ち、閉じた瞼に涙が溜まってゆく。

 キスの最中でも、京介君の視線を強く感じた。

 目を開けることが出来なくて。確かめることが怖くて。


 なぜ、京介君は私にこれほどまでに固執するのか。


 憎ければ、放っておけばいいのに。目に入れなければいいのに。嫌いなら触れてこなければいいのに。

 今みたいに、なぜ正反対の行動を取るのか。

 私には理解が出来なかった。


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