Under The Darkness
「ふ、復讐、もうやったやんか! 私のこと好きにしたやん! もう解放してくれてもええんちゃうの!」
「ふざけるな。あの程度で何が解放しろ、だ」
まだ終わってなどいないと、京介君は馬鹿にしたような顔で私を見る。
私はカッと頭に血が上った。
「じゃあどないしたらええの!? 私、何したら京介君に許してもらえんの!」
「簡単です。私はただ――この手で、貴女が壊れてゆく様を見たいだけ」
それが成し遂げられるまでは離しはしないと、京介君は冷たい笑みを浮かべる。
「なっ! アンタに渡せるもんは、何一つないっ! 渡すつもりもない! 私を壊せるもんなら壊してみい! でもな」
私は恐怖に震えながらも、最後に残った矜持を示す。
「私は京介君になんか、絶対に屈せへん!」
ありったけの意思を眸に込め、私は京介君を睨み上げた。
「……バカな女。その気の強さにたまらなく惹きつけられるというのに。そんなに私を煽らないで下さい。タガが外れてしまいます」
可哀想な子を見るような憐れみの浮かぶ双眸で、京介君は屈んで私の瞳を覗き込んだ。
「先程までは、貴方の瞳が怒りで色を増していましたが、今は怯えていますね。とてもそそられます」
「あぁっ」
京介君は私の髪を乱暴に掴み、更に上向かせた。
互いの瞳に相手の姿が映り込むほど間近に顔を引き寄せる。
「ずっと――ずっと待ってました。貴女が私に」
狂気を滲ませた瞳で、うっとりと囁く。
「……堕ちてくるのを」