Under The Darkness



「美里さんの言葉は聞きません。貴女も私の忠告を聞かなかった。危険だからと言っても、無防備に飛び出してしまう。そして、先ほどのような危険に見舞われてしまうのです。……いっそのこと、自由に逃げ回るその足を切り落としてしまいますか?」


 京介君は、私の上に追い詰めるようにして覆いかぶさってくる。そして、艶めいた眸で私を捕らえた。


「……そうすれば、貴女はもう、私から逃げられなくなる」


 その台詞に、私は戦き、愕然と目を見開く。

 私の動揺を見て京介君はうっとりと目を細め、見開いたままの私の眦《まなじり》を優しく撫でた。


「ああ、どこかに閉じ込めてしまってもいいですね。そうすれば、その眸に私以外誰も映さなくなる」



 ――私はもう、狂気に苛まれずに済む。


 愛を告白するように低く甘いテノールで、醜く歪んだ言葉を口にする。


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