Under The Darkness
「聞き分けのない人だ」
眉を顰めた京介君は、片手で私の両手首を掴み、易々と拘束してしまう。
そして、京介君は自分の首元からネクタイをシュッと外して、私の両手首を頭上で一つに縛り上げた。
「こんなことしてなんになるんや! 私が気に入らんかったら、もう二度とお前の前には現れへんっ! それでええんちゃうん!?」
私は必死で訴えた。
これ以上、こんな意味のない背徳的な行為など、何も産み出さず何も得るものはない。
だから――――。
「私に逢わなければすむと? 私の知らない所で、貴女が私以外の誰かと僅かでも同じ時間を共有しているなど、考えるだけで腹立たしい……」
嫉妬の混じる表情で、言葉で、けれど、瞳に浮かぶものは激しい憎悪。
私は余計に分からなくなる。
京介君の心が望むものが何か、彼の心が平穏になるにはどうすればいいのか。
わからなくて、混乱する。
「京介君、おかしい。……なんでそんなこと言う? 愛してるみたいな言葉言うて、憎む目を向けてくるん? 私を、どうしたいんよ」
私は、相手が本当に望むものが何なのかを汲み取れず、どうすれば京介君が無意味な行為を諦めてくれるのか、その糸口すら見つけることが出来ない。
――京介君は、本当はどないしたいんや?
「貴方にはわかりませんよ。分かって欲しいとも思わない。……貴方はただ、私の傍で」
京介君は私に纏わり付くシャツの残骸もブラも手で引き裂いた。
「――やめっ」
「淫らに、恥辱と屈辱にまみれていればいい」