Under The Darkness
京介君の濡れた指が、舌が、私をただのオンナに貶めてゆく。
淫らな動きを繰り返され、そのひとつひとつに反応してしまう度、私の理性は薄いガラスがひび割れるように音を立てて崩れてゆく。
だらしなく開いたままの唇は、与えられる刺激に爪弾《つまび》かれる壊れた楽器に姿を変える。
京介君に無理やり暴かれた快楽の記憶が否が応にも呼び起こされて、戦慄が走ると同時に理性を裏切る本能が、甘い期待を抱いてしまう。
私の中にも、確かに『オンナ』の部分があったのだと、悲しみの中思った。
そして、体の内側に眠る欲望が京介君によって再び叩き起されて、ぬるりと鎌首をもたげ始める。そいつが皮膚を喰い破って外に出てきてしまうような恐怖を覚えた。
――悔しい、悔しい、悔しい!
どうしようもなく悔しくて、苦しくて、そして、悲しかった。
瞼に涙が盛り上がってくる。
泣き顔なんて絶対見せたくないって思っていても、我慢できなかった。
背けた頬を伝ってポロポロと涙が滴り落ちてゆく。
そんな私を一瞥した京介君は、満足気に喉の奥でククッと嗤い、私のズボンを下着ごと一息に脱がせた。
「ああっ、あかんっ! いや……いややっ」
それだけは絶対させまいと、私は思い切り足をばたつかせ、必死で抵抗をする。
「まだ抗《あらが》いますか。諦めの悪い」
くすくす笑いながら、私の首に触れ――再び親指で頚動脈をグッと押さえつけた。