Under The Darkness
「認知はねえ、したかったんだよ。でもね、蘭ちゃんが絶対許してくれなくて。ほら、わたしは極道者でしょ? 蘭ちゃん、散々逃げまくって、大阪に行ってしまったんだよねえ」
切ないねえ。と、お父さんはがっくりと肩を落としながら呟いた。
「まあ、月に三回ほど蘭さんの様子を見に行ってましたけどね。で、蘭さんからは相当煙たがられていましたよね。私から見たら、父さんは立派なストーカーでしたよ」
いつ父親が破廉恥《はれんち》罪でとっ捕まるかヒヤヒヤしていたのだと、京介君は薄ら寒い笑み浮かべた。
「ヒドッ」
再び泣きそうな顔をするお父さんと傲慢な態度を崩さない息子、ふたりの親子漫才のような掛け合いに、私は思わず吹き出してしまった。