Under The Darkness




「いった――っ! な、なに、なに、なんやの、その顔……」


 京介君の身体の上に折り重なるようにして引き倒された私は、カッと怒りの表情で威嚇したんだけど。

 京介君の双眸を見た私の動きがまた凍り付いてしまう。


 嗜虐に輝く彼の眸は怖すぎて直視できない。

 でも、視界に捉えられたら逸らすことも出来なくて。

 サーッと血の気が引いてゆく。


「仕方ありません。私から逃げ出すことが如何に危険なのか。頭のよろしくない貴女が真に理解できるまで、私が教えてあげましょう」


 ゾクリとした。

 卑猥な音色で紡がれる言葉に、下がった血の気が一気に顔へと集中する感じがした。

 私をがっしりと拘束する腕から逃れようと、好きにされてたまるかとばかりに渾身の力で私は暴れまくった。

 京介君の顔やら胸やらを容赦なく叩きまくり、腕にガブッと噛みついてやる。

 そうしたら、京介君が声を立てて笑い出した。


「ふふっ。貴女はどうやら元気が有り余っているようだ。私が少し」


 グイッと私を引き寄せた京介君は、私の耳朶に唇を這わせながら、 




「遊んであげます」




 背中を慄わせる妖艶な甘いテノールで、そう囁いた。



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