Under The Darkness
屋敷内にいる舎弟さん総員で見張られている現状、逃げ出すことが出来ない。
逃げだそうとした所で、今みたいに速攻で見つかってしまうのがオチだ。
それに、京介君の耳にも入るに違いない。
――脱走しようとしたことが。
クラリとした。
このままでは逃げ出せない上に、京介君の怒りを買うのは必至。頭を鈍器で殴られたような衝撃が私を襲う。
何もせず手をこまねいている場合ではない。
なんとしても、今、逃げ出さないと。
けれど、あと少しで京介君が戻ってきてしまう。
ママもいない。
……どうしよう。
ぎゅうっと掌を握りしめ、泣きそうになるのを必死で耐える。
「……そうだ!」
パッと閃いた。極道なお兄さん達を追い払うことが出来る存在。
この屋敷で、京介君以外でもう一人いたことに気付く。
そして、善は急げとばかりに、扉の外で見張りをしていたお兄さんに、私は声を掛けた。