Under The Darkness
玄関先で、大量の荷物をドサッと置いた悠宇は、思い出したように「あ、そうだ」と声を掛けてきた。
「栞もこっちくる言うてたわ」
その言葉に、新しく買ったエプロンの梱包を解く手が止まった。
「ほんま!? めっちゃ嬉しい! いつ!?」
「明日か明後日くらいには来よるんちゃうかな」
「やったあ!」
諸手を挙げて喜ぶ私に、悠宇はうんざりとした顔で、
「オレは嬉しないけどな」
大仰なため息をつき、そんなことを言う。
「なんでそんないけず言うん」
犬猿の仲なのは知っているけれど、それでもふたり、気が合うってことはちゃんと知ってるんだから。
むっと悠宇を睨んだら、「オレはいけずなんや」と、にやりと悪い笑みを向けてきた。
「ってか、みぃちゃん、さっきから何やってんの。手伝おか?」
「あ、助かる。これ開けて。かったいねん」
調味料のビンの蓋を開けようと奮闘していたんだけれど、リタイヤすることにした。
悠宇に「はい」と手渡す。
いつも使っているヤツなんだけど、蓋が硬くてママも開けるの四苦八苦していたんだよね。
受け取った悠宇は、カコッと簡単に開けてしまう。
おおっと歓声を上げながら私はそれを受け取った。
悠宇、褒めろとばかりにドヤ顔で私を見る。
その顔が得意満面すぎて、ぷぷっと笑った。