Under The Darkness
「オレが一番美里に近い存在やった。今までは、オレ以上に美里に近い男はおらんかった。美里、オレ、怖いんや。身体だけでなく、美里の心まであの男に奪われるんちゃうかって」
「……悠宇?」
悠宇は私の心が京介君に傾きかけている。
そう感じているんだろうか。
それは違う。
確かに、心に深く食い込んでいるのは間違いない。
けれどそれは、私の意思を無視した暴力という形で、だ。
『愛』に頑なな私を従順させようと立ち塞がり、頑強な鎖で封印した私の心をこじ開けようとする、彼はいわば『敵』。
悠宇が思うように、私が京介君に心を許すことなんて、この先きっとない。
母親を私達母子のせいで失った京介君の心の傷を、何とか癒やせればいいなって思ったけれど。
でも、私にはそれが出来そうもない。
京介君が望むように、彼の言うがまま恭順することは、彼の所有物になることは、烈しく私の矜持を、誇りを、傷つけ貶める。
私はそれを到底享受出来ない。
考えに沈んでいた私を、悠宇が探るような目で見つめてくる。
私の中にある答えを見極めるように。