Under The Darkness



 烈しい怒りに輝きを増した京介君の眸が、ハッと何かに気付く。

 そして、氷のように冷たい指先で、私の首筋に触れた。


「……あの男の唇が、ここに触れたのか」


 忌々しいというように、ガリッと爪で抉られる。首筋に走った鋭い痛みに私は声を上げた。


「やはりお前は男を狂わせる」


 スローモーションのようにゆっくりと口角がつり上がり、凶悪で残忍な笑みを刻む。

 心臓が早鐘を打ち、恐慌を来した私からは抵抗する力が奪われてゆく。

 そして、京介君は、私にとって死刑宣告ともいえる言葉を告げたんだ。



「死ぬほど後悔させてやる。私の手から逃げ出したことを。……あの男に触れさせたことを」



 ――――覚悟しろ。



 恫喝の声が乱暴なものへと変わる。

 私は京介君に目を奪われたまま、微動だにできなくて。



 魂を奪われるほどに凄絶な眼差しと婀娜めいた笑みで、京介君は私から全てを奪っていった。



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