Under The Darkness
煌々とした明かりの下、ベッドに放り出された私は、上から威圧するように覆い被さってくる京介君を全身で拒絶した。
両手を振り回し、足をばたつかせて必死で抵抗した。
これ以上、憎しみに翻弄されるのはイヤだった。
私の振り上げた手が京介君の頬を掠めた。
爪が彼の頬を引っ掻いて傷を作ってしまう。つ、と朱い線が頬に滲《にじ》んだ。
「……往生際が悪い」
忌々しげに呟きながら、けれど、浮かべる表情はひどく愉しげで。
矛盾だらけの京介君の『本当』だけがどうしても見えなくて。
私は歯噛みする。
「背徳やプライドなど、本能の前では無意味な紙くずに等しい。捨ててしまえば楽になれるのに」
傷つけられた頬を指先で愛おしげになぞりながら、京介君は私に全てを捨ててしまえと冷ら笑う。
「捨てれるわけないやろう! 私に血の繋がりも何もかも無視して、ただの女になれって……アンタの言うこと聞くだけの人形になれ言うんか!?」
自分の非力さが悔しくて。怯える犬が無様に吠えたてるようにして、感情のまま声を荒げてしまう。
「――なってください。私だけしか見ない人形に、私だけのオンナに」
京介君は、真剣な眼差しで私を捉え――私の唇を自分の唇で塞いだ。
口説くような甘い声色で囁くそのセリフに、ほんの欠片だけ、彼の『本当』が見えた気がした。
「ふっ、うぁっ」
何度も何度も角度を変え、荒々しく唇を貪られる。
京介君の目は、キスの間中ずっと私を捉え続けていた。
私の口内に侵入した京介君の舌が思う様内部を蹂躙し、私から理性までをも絡み取ろうとする。
苦しくて。
酸素が足りなくて次第に頭が霞みがかってくる。
もうやめて欲しいと、両手で京介君に縋り付いてしまう。