Under The Darkness





 その言葉に、京介君がハッと目を見開く。

 信じられないものを見るように私を見る。

 私はフッと唇を綻ばせた。


「私は京介君の言うがまま生きられへん。夢を追いたい。でも、自分の意思を殺して京介君の憎しみに縛られたまま生きるくらいやったら。豪みたいに暴力で縛るんやったら」


 私に覆い被さる圧倒的な存在。

 私を壊そうとしている男。

 静寂の中、彼が今までに無いくらい揺らめいているのが分かった。


「もう何も望まん。さっさと殺し」


 それは、もうひとつの私の本心だった。

 何かに期待して打ち砕かれるより、期待する前に消えてしまった方がいい。

 それは、私が心を閉ざしていた3年間、常に思っていたことだった。



 私は今、夢を追おうとしている。

 手が届きそうな近さにある。

 けれど、この状況から逃げられないというのなら、触れる瞬間に奪われるくらいなら。

 もう。

 何ものにも期待したくはなかった。

 いっそ、このまま消えてしまった方がマシだと思えた。

 色を失った京介君の唇が小さく戦慄く。



「……私のものになるくらいなら、死を望むと?」


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