Under The Darkness
京介君は私に執着していると告白した。
今まで見せた京介君の行動で、彼の執着は私の手に負えないほど強くて激しいものだと、すでに知っている。
その根幹にあるものが『憎しみ』でも『愛』でも、私には扱いきれるものではないと知った。
効果はないだろうと思いながらも、私は藁をも掴む思いで至極常識的な意見を口にしてみる。
「……血ィ、繋がってんねんやろ? それは望んだらあかん。道義に反する」
「血が繋がっていなければ。貴女は私のものになってくれますか」
「ならんよ」
私は間髪入れずに答えを返した。
血のつながりがなければ、私が望んでこの関係を継続するとでもいうのだろうか。
バカにしてる。
私は京介君を睨み上げた。
無言のまま私を睥睨する京介君の双眸に冷たい怒りが灯る。
「……私を翻弄する気ですか。いい度胸だ」
京介君の言葉に、私はハッとした。
まだ私と繋がったままの京介君が、内壁を押し拡げ再び硬度を取り戻す。
抉るように腰を押しつけられて、背中が弓なりに反った。
「う、ぁっ! うそ、……ま、また!?」
――――お前が悪い。
驚愕に目を見開いてもう無理だと頭を振る私に、京介君は薄く嗤いながらそう言うと、律動を再開しようとする。
「どうすれば捕らえることが出来るのか」
独りごちるように囁かれる真剣な声。
迷子になった子供のような寄る辺ない双眸で私を貫く。
瞬間、心臓を掴まれたような痛みが胸に走った。
「ち、血が繋がってるんやったら、こんなことせんでも、普通の姉弟みたいにしてたら、」
「普通などいらない。こんなことをする関係を、私は望んでいるのです」
腰を大きくグラインドさせながら、京介君は自分の言いたいことをこれ以上無いほどに主張する。
私は頭を振った。
「だからっ、それは……アカン言うてるっ」
「堂々巡りですね。諦めて受け入れなさい」
――その方が楽になる。望むのなら、愛するように優しく接してやってもいい。
京介君は掻き口説くようにしてこの関係を強要する。
けれど、私は頭を振り続けた。
「貴女が恐れる『愛』など、美里さんには抱かない。貴女を決して愛さない」