Under The Darkness





「ごめんな、悠宇。私、やっぱり怖い。恋愛感情の『好き』を向けられるの、恐ろしい。悠宇がくれた『好き』は、怖いもん違うって頭では理解してるんよ。けど、本能の部分が拒絶してる。私、きっと一生恋は出来ん。異性を愛することが出来ん。悠宇にも同じ答えしか返せんのよ」


 悠宇がくすりと笑む気配がして視線を向ける。


「ええよ。わかった。昨日は悪かったな。やっぱり怖がらせてもうたんやな。オレ、ずっと待ってる。結構しつこいねんで、オレ。あんなヤツに負ける気せえへんし」


 悠宇の言葉に目の前が暗くなる。


「待たんといて。そんなんするんやったら、私、悠宇から離れる。悠宇とは二度と会わん。これ以上私に、悠宇を巻き込みたない」


「アホやな。オレがそないしたい言うてるんや。みぃちゃんの意思は関係ない。罪悪感持つ必要すらない。勝手に待つくらい許したってえや」


「アホはどっちなん」


 悠宇はオレの気持ちを否定するなと私に強く言う。

 けれど、私には悠宇の想いを受け止めるための受け皿がない。

 幼い頃に粉々に壊されてしまっている。

 もう修繕することも出来ないほどに。

 悠宇には可愛い彼女を作って幸せになって欲しい。

 私になど構っていて欲しくはないと心から思う。


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