Under The Darkness
「あの時、母が貴女の首を締め上げていた時。見つけた私が、貴女を助けたんです」
え、私を助けた?
あの危機的状況から救ってくれたのは、京介君?
今回も、昔も、私を助けてくれたの?
私は呆然と京介君を仰ぎ見た。
彼は目が悪いせいか、覗き込むように間近で見つめてくる。
京介君が近づく距離だけ私は後ろに顔を引く。
そんな私を咎めるように、ムッと京介君の眉間に深い皺が刻まれる。
日本人形のように端整だけれど恐怖を感じてしまう彼の顔が、ひどく間近にあるせいで激しく動揺してしまう。
また恐怖に蝕まれそうで、不自然に私は顔を逸らせてしまった。
「ふふっ。そんな怯えた顔をしないで下さい。傷ついてしまいます」
傷つくと言いながら、その眸に浮かぶのは、追い詰めたネズミをどういたぶってやろうかと思案する猫のように、ひどく愉しげに輝いて見えて。