Under The Darkness




 京介君は!?

 京介君は今どこ!?

 私もそこへ行くから、教えて!!



 お父さんは、悲哀感漂う顔を私に向け、ただ苦い笑みを浮かべるだけで、ちっとも埒が明かなくて。


 傍で痛いような表情を浮かべ私を見つめる悠宇に、視線を移し聞こうとした。

 でも悠宇は、ギクッと身体をすくませ、私から逃れるように視線を逸らして俯いてしまったんだ。

 怒りに駆られた私は、頭を大きく振って、声なき声で思い切り叫んだ。



 なんでや! なんで誰も教えてくれん!?

 京介君はどないしたんか、私はそれだけが知りたいだけやのに!!



 苛立ちは限界に達し、この場から離れ京介君を探しに行こうと、邪魔な点滴を腕から引き抜き、ベッドから降りた。

 裸足で駆け出した私は、あっとういう間に悠宇や看護師さんに取り押さえられてしまって。

 注射器を取り出した医師が、再び暴れ出した私の腕に針を刺す。

 みるみる私の視界には紗が掛かり、混濁した意識のまま、そこでプツンと途切れてしまった。



< 290 / 312 >

この作品をシェア

pagetop