Under The Darkness
「美里、開けてみ。似合う思てな。新地のええ店で見つけたんや」
豪はその包みを私に押しつけて、急かす。
私はしぶしぶ従った。
包みを開けると、そこには温かそうな毛皮のショールが入っていた。
「ミンクや。お前に絶対似合う」
私はどうしていいか返答に迷った。
欲しくなどない。
けれど、ここは嬉しそうに「ありがとう」と言わないと、またこの男の機嫌を損ねてしまいそうで怖かった。
「……ありがと」
消えてしまいそうなほどに小さな、抑揚のない私の声。
気のない私の返事に、豪は一気に相好を崩し、喜びを露わにする。
「ええねん! お前、寒がりやろ? 中学ん時、冬なるといつもごっついマフラーと手袋してたからな。廊下ですれ違ったとき、寒いの嫌いや言うてんの聞いたことある。女は身体冷やしたらアカン。お前は俺の子ぉ産む大事な女やからな」
嬉しそうに話す豪を、私はなんの感慨もなく、ただ、冷たい目で眺めていた。