Under The Darkness
睨みつける私に、にっこりと好青年風な笑みを浮かべた京介君は、とても怖いセリフを言った。
「ああ、それはよかったです。もし、あのクズの子供などが出来ていたら。有無を言わさず、貴女を薬で眠らせてでも堕胎処置を施さねばと考えていましたから」
――毎日来てくれるあの医師、実は産婦人科で堕胎の経験もありましたから、執刀させるよう指示を出していたんです。
なんでもないことのように話すその姿が怖かった。
生理が来て嬉しい気持ちが一気に萎えてしまう。
考えることすらさせてもらえず、私の意思を無視した行動を本気で取るつもりだったのだと、彼の言葉と態度からありありと分かった。
私の異母弟だが、血の繋がりがあるらしいのだが、はっきりと。
凍えるほどに他人なのだと痛感した。
「……出来てへんでよかった思う。でも、私には考えることすらさせてくれへんの」
そう言って、私は彼の言葉を非難した。そうしたら、
「なに? 美里さん、貴女あの男の子供が出来ていたら……まさか産むつもりだったとか言わないですよね? あんな男に、貴女の心が欠片でも傾いていたなど、言わせませんよ」
切れるような鋭い目を向けられた。
頷けないほど乱暴な内容に、私はキレてしまった。