Under The Darkness
それは、あまりにも無茶苦茶で、私の意見を無視した傲慢な内容だった。
平坦な口調だが釘を刺すような強さと鋭さを伴って、京介君は私に念を押す。
怒りに目の前が赤く染まる気がしたけれど、私は興奮する呼吸を整え、取り敢えず頷いた。
だって、監視されているわけじゃないんだから、私がいつ悠宇に連絡したかなんて京介君には分かるはずないと思ったから。
その場しのぎに可の返事を返したんだ。
そうして電話の許可が下り、よかったと安堵したんだけど。
背中に氷を当てられたようなゾワリとした悪寒を感じて、受話器を握る掌に汗が滲みだす。
背後で見張るようにして立つ異母弟の存在が気になって仕方ない。
ビクビクしながら、ちらりと視線を向けてみる。
腕を組み、じっと穴が開くほどに京介君は私を見てた。
目が合ってしまい、慌てて視線を逸らす。
――怖い。
京介君に感じた恐怖は、未だ身体の奥に燻っている。
憎むような、疎んじるような、どろりとした濃い負の感情が乗ったその眸。
それは、彼の母親が見せた感情と酷似して見えた。
――助けてくれたけど、やっぱり憎まれてるんやろうか。
そう思って、確信する。
憎まれて当然だ。私達母子は、京介君の母親を殺したも同然なのだから。