Under The Darkness
――だったら、やっぱりここにおるわけにはいかん。私は京介君の『毒』になる。
私が傍に居ることで、彼が再び憎しみに苛まれてしまうことになる。
彼の母親のように、心を病んでしまうかもしれない。
だから、離れないといけない。
そう思ったときだった。
「いつまで受話器を抱えたままなんでしょうね、美里さんは」
ハッとした。振り返ったら、京介君が呆れた顔でこっちを見てる。
「あ、そうやな、悠宇に電話するんやった」
慌てて受話器を持ち直し、プッシュしようとする指が、京介君の言葉でピタリと止まる。
「3分です」
「え?」
「許容できる時間は3分。それ以内に切って下さい」
「3分? え、ラーメン?」
「……は?」
何言ってんだコイツ。って顔で見られる。
でも、何故3分。即席ラーメンじゃないんだから、もっと話したい。
それじゃ挨拶だけで終わってしまう。
「そんなん無理やわ、早口で言うても無理や」