Under The Darkness
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お父さんに一言大阪行きを伝えると言うことで、京介君に腕を引かれ、私は敷地内にある事務所へと足を踏み入れたんだけど。
私、呆然としてしまった。
広いスペースに長机が整然と並んだその場所は、いかにもスジもんな強面の男達が大きな背を丸めながら真剣に事務的的な仕事をこなしていて。
ヤクザさんがもくもくと、まさかのデスクワーク。しかも有線がENYA……。寝てる人も数人いる。かくんって頭が揺れてる。
そこにいるのが強面な集団ではなかったら、なにも違和感なかったろうに。
その場に満ちる異様な空気と雰囲気に、違う意味でごくりと喉が鳴った。けれど、邦画で見るような怒声や罵声が飛び交っているような場所よりずっといい。
居てる人間は怖い系な人ばかりだけど、事務仕事をこなすやくざさん達を見て、少しだけ身近に感じなくもない。ほんの少しだけど。
観葉植物も所々配置されているし、大きな窓からは太陽の光が燦々と差し込んでいるし、いかにもやくざ! な陰気な事務所っぽくないのも安心した。
お父さんが座る背後の壁には、達筆すぎてなんて書かれてあるのか意味不明な掛け軸が掛けられているんだけど、これもお父さんの渋い外見とマッチしてるし。
私はビクビクしながらも、物珍しさにキョロキョロと辺りを見回した。