Under The Darkness
「美里ォッ!! 答ええ!」
ビンと肌を突き刺す鋭い声。
豪の手が私の首を片手で掴み、締め上げる。
ああ、とうとう殺されるのだと覚悟した。
その時だった。
玄関扉が轟音を立てて蹴り破られて、ひとりの男が侵入してきたのは。
私は霞む意識の中、その男の姿を見た。
銀フレームの眼鏡の奥で光る、スッと切れるような鋭利な目。
重たい筋肉に包まれた猛々しい体躯を持つ豪とは真逆、長身で無駄のない肢体。
スーツを纏った知的な印象の男性だった。
助けて。
伸ばした手が空を切る。
その言葉は発することが出来ず、絞められた首に力が増してゆく。
そして、飛び交う怒号の声が遠のき、私の視界が暗転した。