Under The Darkness
「……それは許可できないと言ったはず」
今し方見た機嫌のいい笑みは完全に払拭され、不機嫌極まりないっていうような顔してる。
そんな怖い顔しても意見は変わらないと、私は自分の気持ちを正直に伝えた。
「でも、それはイヤや。学校は今のところで卒業したいんや。お願いやから」
友達が居るから。悠宇や栞ちゃん、保育園の頃からの親友達。ふたりとは離れたくないって思うから。
「強情な人だ」
京介君が忌々しげにそう呟いた時だった。
「ああっ、おやっさんっ!!」
ザワッと辺りが騒然となる。
ハッと視線を向けると、お父さんが胸を押さえて蹲っていた。
「お、お父さん!?」
突然のことに驚いて、私はお父さんに駆け寄った。
群がる極道さん達を押しのけて、今にも頽れそうになるお父さんの身体を支えた。
「うぅっ、胸が……っ」
苦しそうに額に脂汗を滲ませながら、青ざめた顔で眉根を寄せる。
私の全身から急速に血の気が引いてゆくのが分かった。
「しっかりして……!!」
悲鳴に近い声で、私はお父さんにしがみついた。