Under The Darkness
「はあ!? 心臓発作起こして口から血吹き出すのん、慣れてる言うの!?」
周りがこの状況に慣れてしまうほどに、そんなにお父さんの病状は悪いのか。
血の気が下がりすぎて気を失いそうになる。ふらつく私の身体を京介君が支えてくれる。
ふと、京介君が自分の服の裾に視線を落とした瞬間、剣呑だった彼の表情がふぅっと緩んだ。
「泣かないで下さい。侍医がくればすぐによくなるのです。『クスリ』を飲めば一時的に元気を取り戻しますからね」
京介君の双眸は常にないほどに優しげな色を刷く。
偽りではない、本当の笑み。
胸がきゅうっと締め付けられる感じがした。
「ほら」
京介君はそう言うと、お父さんを指差した。
お父さんは、駆けつけてくれた侍医の田村さんに、コップに並々と注がれた液体を口に含まされていた。
それを口にした途端、お父さん、カッと目を見開いて、
「これは……!? まさか……幻の『かわ坊主』!?」
驚愕に目を見開くお父さんに、田村さんは恭しく頷く。